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社団法人日本計量振興協会
会長 飯塚幸三
 先般開催されました(社)日本計量振興協会の総会におきまして、3法人統合後の新協会として、初めて本格的な事業を立ち上げられた川田裕郎前会長が退任され、私がその後を受けて会長の大役を務めさせていただくことになりました。浅学非才の身ではございますが、会員各位ならびに計量関係者の皆様のご支援とご協力を頂くことにより、役目を果たして参りたいと思っておりますので、よろしくご指導の程お願い申し上げます。

 本協会はその前身とする団体の設立以来、古くはメートル法化による単位の統一、近年では国際単位系(SI)の普及を通じて計量についての啓蒙活動を続けて参りましたが、現在ではすべての計量が国際的な単位の標準とつながるという、いわゆるグローバルなトレ−サビリティの確立についての関心を高め、理解を深めるための活動が最重要課題と考えられます。現在、世界各国は貿易や投資を通じて相互依存の関係をこれまでになく深めており、社会・経済の基盤となる計量についての相互の信頼関係を確立し維持していくことが不可欠になっています。そのためには基本となる計量単位の標準が相互に一致していることはもとより、それぞれの標準をもととする校正作業、そして校正を受けた計量器による実地の計量までが相互に一致していなければなりません。それを保証するのが計量のトレ−サビリティの確保であり、その重要性につぃては、実際に計量を担当する技術者はもとより、その結果を利用するユーザにも理解して頂くことが必要です。本協会はそのための啓蒙、教育、訓練などを今後の事業の柱にしていくべきと考えております。

 一方、公正な商取引や安全の確保に欠かせない計量については計量法による国の規制が
あり、実施面を計量証明事業者や計量士が担っております。それらの実務に関わる法令や技術の情報提供、さらには個々の技術的な問題の解決の支援等も本協会の重要な役割と考えられます。また最近では任意規格として種々の管理システムが国際的に標準化されつつあり、それらについての適合性の条件として国家標準と整合した計量システムの構築が義務づけられ、そのための校正業務も担える技術者の育成が求められています。従ってこれら計量担当技術者の研修、研鑽、相互交流の必要性はかつてなく増大しており、そのようなニーズに対応することも本協会の大事な責務であると考えられます。すでに本年2月には計量管理・計量士制度50周年記念行事として、このような啓蒙・交流のためのシンポジウムを開催いたしましたが、今後も計量記念日に行う全国大会等の機会を活用するとともに、さまざまな研修会、交流会等により、自己研鑽や相互交流の機会を提供の機会を提供していきたいとおもっております。

 最初に述べましたように、計量がなぜ大切かといえば、それがすべての社会・経済活動の基礎であるからであります。最近起こっている社会問題も、それらの根本的な解決には確かな計量が欠かせません。世界的に「人」、「もの」が移動する今日、計量が担う役割は拡大する一方と考えられます。そのような計量の広がりは1機関、1団体、1専門分野、1地域で支えられるものではなく、さまざまな分野の組織、専門家が大きな輪を作って緊密に協力していく以外には対応できない問題であります。特に地方分権の時代となった今日、各地域における特色ある活動にも大きな期待がかかっており、本協会は地域ごとの活動とも連携をとりつつ、計量の大きなネットワークを支える一つの団体として、より豊かで安心できる社会の実現に努力してまいりたいと思いますので、会員各位ならびに関係各位のご指導ご鞭撻を心からお願い申し上げる次第であります。