1)認定基準第1項関係 2)認定基準第2項関係 3)認定基準第3項関係 |
事 項 | 基 準 | 運用・解釈 | |
一 | 実施体制 | 認定を受けようとする事業の区分に係る特定計量証明事業(以下単に「計量証明事業」という。)を適正に行うに必要な社内規格等について、具体的に、かつ、体系的に整備されるとともに、次に掲げる事項その他必要な事項が文書化され、それに基づいて適切に事業を行うこと。
イ 品質に対する方針及び目標 ロ 計量証明事業を適正に実施するために必要な事項 ハ 文書目録 |
1.「必要な社内規格等」とは、計量証明事業を適正に行うために事業所が定めた品質システム(組織、方針、手順等)をいう。 |
二 | 組織 | 一 次に掲げる者が任命されていること。 イ 事業所において、計量証明事業全般に対して責任を有する者(以下「統括管理者」という。) ロ 計量法第百九条第二号に規定する当該事業に係る計量管理を行う者(以下「計量管理者」という。) ハ 品質管理の分野において十分な知識を有しており、計量証明事業の品質管理に責任を有するとともに、内部監査の実施を行う者(以下「品質管理者」という。)。品質管理者は、計量管理者を兼ねることができない。 ニ 統括管理者及び品質管理者が不在の場合、当該権限及び責任を代行する者 |
1.計量管理者の職務権限を代行する者を置くことは認められない。 2.計量管理者が品質管理者の職務権限を代行することは認められない。 |
二 計量証明事業を適切に行うに必要な組織の権限、責任及び相互関係が明確に社内規格に定められ、統括管理者が組織の監督を行うとともに、組織間の有機的な連携が取られていること。 | |||
三 次に掲げる事項その他計量証明事業を適切に行うに必要な事項が社内規格に定められていること。 イ 事業所において、計量証明事業以外の事業を行っている場合は、当該事業のうち、計量証明事業に影響を及ぼす事業に係る主要な就業者の責任に関する事項 ロ 就業者に対する内部的又は外部的な圧力の防止に関する事項 ハ 計量証明を依頼した者(以下 「依頼者」という。)の秘密の保持に関する事項 ニ 計量証明事業の信頼性に影響を与える活動への不関与に関する事項 ホ 就業者に対する適切な権限の付与に関する事項 ヘ 教育訓練中の就業者が業務を行う場合に関する事項 ト 臨時に使用する者が業務を行う場合に関する事項 |
1.「計量証明事業に影響を及ぼす事業に係る主要な就業者の責任に関する事項」とは、潜在的な利害の衝突を特定するために計量証明事業に影響を及ぼす主要な就業者の責任を明確にすることをいう。 2.「就業者に対する内部的又は外部的な圧力の防止に関する事項」とは、就業者が業務の品質に悪影響を与えるおそれがある営利上、財務上又はその他の内部的及び外部的な圧力を受けないことを確実にするための取決めをいう。 3.「計量証明を依頼した者の秘密の保持に関する事項」とは、計量証明結果の電磁的手段による保管及び電送を保護する手順を含め、依頼者の機密情報及び所有権の保護を確実にするための方針及び手順をいう。 4.「計量証明事業の信頼性に影響を与える活動への不関与に関する事項」とは、事業所の能力、公平性、判断又は業務上の誠実性に対する信頼を損なうおそれのある活動に事業所が関与することを避けるための方針及び手順をいう。 5.「就業者に対する適切な権限の付与に関する事項」とは、特定の業務(例えば、試料の採取、計量の実施、計量証明書の発行、GC_MS等の特定の装置等の操作)を行う就業者に対する権限付与に関する事項(手順及び記録の作成を含む。)をいう。 6.「教育訓練中の就業者が業務を行う場合に関する事項」とは、教育訓練中の職員を業務に用いるときの当該業務に精通した者による必要な監督に関する事項をいう。 7.「臨時に使用する者が業務を行う場合に関する事項」とは、臨時の就業者を業務に用いるときの必要な監督、適格性の確保、事業所の品質システムの遵守に関する事項をいう。 |
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三 | 文書管理 | 計量証明事業を適正に実施するために必要な社内規格を定めた文書(以下「品質文書」という。)について、次に掲げる事項その他必要な事項が社内規格に定められ、それに基づいて適切に品質文書の管理(電磁的方法による管理を含む。)が行われていること。
イ 品質文書の制定、改廃等の手続に関する事項 ロ 品質文書の識別に関する事項 ハ 品質文書の閲覧及び周知に関する事項 |
1.「品質文書」とは、法令、規格、その他の基準文書、計量方法、仕様書、指示書及びマニュアル等品質システムの一部を構成するすべての文書(内部で作成した文書及び外部で発行された文書)をいう。 2.「品質文書の制定の手続」とは、権限を有する者による品質文書の発行前の確認、使用の承認等に関する手続をいう。 3.「品質文書の改廃等の手続に関する事項」とは、次の事項をいう。 ア 原則として、品質文書の改正はその文書の初版の確認を行った部署が確認及び承認を行う。確認及び承認を行う者はその根拠となる背景情報に接触できる。 イ 変更又は新しく追加された記述をその文書中又はその他適切な文書の中で識別する。 ウ 手書きによる文書の修正を認める場合には、手書き修正の手順及び権限を明確に規定する。 なお、修正箇所は明瞭に表示し、署名又は訂正印及び日付を付ける。正式な改訂文書を速やかに再発行する。 エ 無効文書又は廃止文書は、すべての発行場所又は使用場所から速やかに撤去するか、若しくは他の方法によって誤使用を確実に防止する。 オ 文書を定期的に見直し、必要に応じて改訂する。 4.「品質文書の識別」とは、事業所が作成した品質文書について、発行日及び改訂の識別、頁番号、全頁数又は文書の終わりを示す表示及び発行権限者の氏名が識別されているとともに、現在の改訂状況及び配布状況を識別できるマスターリスト又は同等の手順が確立され、このリスト等が常に利用可能な状態にあることをいう。 また、保持する廃止文書は、廃止された文書である旨を適切に表示する。 5.「品質文書の周知」とは、品質方針及び目標の周知を含め、品質文書の関係する就業者に対する周知をいい、業務を行うすべての場所において適切な文書の公式版がいつでも利用できる状況であることをいう。 6.「電磁的方法による管理」とは、電子的方法、磁気的方法により記録され、当該記録が必要に応じコンピュータ等を用いて表示できるようにして保存されている場合の品質文書の管理をいう。 |
四 | 記録の管理 | 計量証明事業の過程で生じた記録について、次に掲げる事項その他必要な事項が社内規格に定められ、それに基づいて適切に記録の管理(電磁的方法による管理を含む。)が行われていること。
イ 記録の識別、保存、保存期間 (五年間以上とする。)等に関する事項 ロ 記録の確認に関する事項 ハ 記録の閲覧に関する事項 ニ 記録の修正に関する事項 |
1.「記録」とは、計量証明事業の過程で生じた記録をいい、計量に関する記録(測定データ、誘導データ、実施者の氏名等)、発行された個々の計量証明書の写しなどを含む。 2.「記録の保存に関する事項」とは、保存すべき記録の内容、保存の手順をいう。 なお、個々の計量に関する技術的記録は、元の条件にできるだけ近い条件での計量の繰返しが可能となるよう十分な情報を含むものであること。また、保存の手順は機密保持の下、損傷又は劣化の防止及び紛失の防止に適した環境下で保管するものであること。 3.「記録の確認」とは、主として計量に関する技術的記録のチェックをいい、「記録の確認に関する事項」とは、確認の手順(確認すべき記録、確認者の記録等)をいう。 なお、計算を行った場合及びデータを移した場合は適切なチェックを行うものであること。 4.「記録の閲覧に関する事項」とは、記録の利用者、ファイリング、検索等に関する事項をいう。 5.「記録の修正に関する事項」とは、技術的記録の修正の手順をいい、その手順は次のことを確実にしていること。 ア 記録に誤りが発生した場合には、抹消したり見えなくしたり削除したりせず、個々の誤りに訂正線を施し、その側に正しい値を記入するこ と。 イ 記録に対する訂正のすべてに、その訂正を行った者の署名又は訂正印を付けること。 ウ 電子的に保管されている記録の場合にも、元のデータの消失又は変更を防止するために同等の手段を講じること。 6.「電磁的方法による管理」とは、電子的方法、磁気的方法により記録され、当該記録が必要に応じコンピュータ等を用いて表示できるようにして保存されている場合の記録の管理をいう。 |
五 | 教育訓練 | 一 計量証明事業を適切に実施する上で必要な教育訓練が計画的に行われるための社内規格が定められているとともに、それに基づいて教育訓練が行われ、かつ、記録が作成されていること。 | 1.「計画的」とは、管理者が就業者の教育訓練のニーズを特定するとともに、教育訓練及び技量に関する目標を設定し計画に基づくものであることをいう。
2.「社内規格」には、必要な教育訓練を提供するための方針及び手順を含めること。 |
二 次に掲げる業務に従事する者に対しては、必要な教育訓練又は経験を基準とした資格認定が行われていること。
イ 試料の採取の業務 ロ 試料の前処理の業務 ハ ガスクロマトグラフ質量分析計による測定の業務 |
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六 | 不適合業務 |
次に掲げる事項その他必要な事項が社内規格に定められ、それに基づいて計量証明事業の手順又は依頼者の要求事項に適合していない業務の結果(以下「不適合業務」という。)に対し適切な対応が行われていること。
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1.「不適合業務に対する処置」とは、不適合業務が特定された場合、処置(業務の中止及び計量証明書の発行保留を含む。)を確定・実施するとともに、不適合業務に対する容認に関する何らかの決定と共に認定基準第1項第7の項の基準欄に規定する是正処置(以下「是正措置」という。)の手順を直ちに取り、必要な場合、依頼者に通知して計量証明書等を回収することをいう。 2.「不適合業務の評価」とは、不適合業務の重大さの評価を行うことをいう。 3.「不適合業務の責任の明確化」とは、不適合業務の管理に関する責任者、業務の再開を認める責任等を指名する手順を確立していることをいう。 4.「不適合業務の再発防止策」とは、評価によって、不適合業務が再発し得ること又は事業者の方針及び手順に対する自身の運営の適合性に疑いがあることが示された場合、是正処置の手順を速やかに実施することをいう。 |
七 | 是正処置等 | 次に掲げる事項その他必要な事項が社内規格に定められ、それに基づいて適切な処置が取られ、かつ、必要な記録を作成すること。
イ 原因の調査検討及び必要な是正処置の実施に関する事項 ロ 是正処置の効果の確認に関する事項 ハ 再監査の実施に関する事項 ニ 予防処置の実施に関する事項 ホ 苦情処理に関する事項 |
1.「原因の調査検討」とは、問題の根本原因を特定するための検討をいう。
2.「必要な是正処置の実施」とは、是正処置が必要な場合、問題を除去し再発を防止する可能性が最も高い処置を選定し、実施することをいう。 なお、是正処置の検討から生じた必要な変更をすべて文書化し、実施すること。 3.「是正処置の効果の確認」とは、実施した是正処置が効果的であったことを確認するため、結果を監視することをいう。 4.「再監査の実施に関する事項」とは、不適合又は逸脱の特定が、事業者の方針及び手順又はこの基準に対する適合性に疑問を投げかける場合、事業者は該当活動範囲に対する追加監査を認定基準第1項第8の項の基準欄の規定にしたがってできるだけ速やかに実施することを確実にすることをいう。 5.「予防処置の実施に関する事項」とは、次の事項をいう。 ア 技術面及び品質システムに関して、必要とされる改良及び不適合の潜在的原因を特定する。予防処置を取る必要がある場合には、そのような不適合が起こる可能性を減らし改良の機会を活用するため、行動計画を作成し、実施し、かつ監視する。 イ 予防処置の手順には、そのような処置の開始及びそれらの有効性を確認するための管理の適用を含める。 6.「苦情処理に関する事項」とは、依頼者又はその他の利害関係者から受けた苦情を解決するための方針及び手順をいう。 なお、すべての苦情の記録並びに事業所が行った調査及び是正処置の記録を維持すること。 |
八 | 内部監査 | 一 計量証明事業が適切に実施されているかどうかの検証のために必要な事項が社内規格に定められているとともに、それに基づいて内部監査が原則として年一回以上の頻度で行われること。 | 1.「内部監査」とは、計量証明事業が適切に実施されているかどうかの計画的な検証をいい、監査の対象は計量の活動を含めすべての品質システムの項目を対象とするものである。
2.「検証のために必要な事項」とは、例えば、監査計画、監査手順、内部監査を行う者の教育訓練、資格認定及び指名基準並びに監査結果に応じた対処手順等をいう。 |
二 内部監査は、可能な限り被監査部門に直接関係を有しない者であって、品質管理又は監査に関する教育訓練を受けた者によって行われること。内部監査を行う者のうち一名は、内部監査の対象となる業務に関する知識経験を有する者であること。 | 1.直接関係を有しない者に監査を求めているのは、監査を行う者自身が実施した業務を監査することを防止することを意図したものである。
2.内部監査の対象に係る技術的・専門的知識を補足するため内部監査を行う者に助言を与える者を参加させてもよい。 |
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三 内部監査の結果が、統括管理者に報告され、時宜を得た適切な是正処置が行われていること。必要な場合は、依頼者に対し、結果の正確さ又は妥当性が影響を受ける可能性を書面で通知すること。 | |||
四 内部監査の結果及びその結果に対する是正処置について記録を作成すること。 | |||
五 再監査の場合にあっては、是正処置の実施内容及び効果の検証を行うとともに、その結果の記録を作成すること。 | |||
九 |
実施体制の 見直し |
計量証明事業が継続的に、適切に、かつ、効果的に運営されることを目的として、事業所の経営に責任を有する者によって、原則として年一回以上の頻度で実施体制の見直しが行われ、その見直しの結果の記録を作成すること。 | 1.「見直し」は、次の事項を考慮するものとする。 ア 方針及び手順の適切さ イ 統括管理者、品質管理者、計量管理者等の管理者からの報告 ウ 最近の内部監査の結果 エ 是正処置及び予防処置 オ 外部機関による審査 カ 試験所間比較(技能試験を含む。)の結果 キ 業務の量及び種類の変化 ク 依頼者からのフィードバック ケ 苦情 コ 品質管理活動、経営資源、職員の訓練など、その他の関係要因 2.「見直しの結果の記録」には、所見及びそれから生じた処置を記録する。 なお、管理者は、それらの処置が適切、かつ、取決めによる期間内に実行されることを確実にすること。 |
十 |
計量証明の 品質の監視 |
計量証明の結果の有効性を監視するための社内規格が定められ、それに基づいて技能試験に参加すること。 | 1.「技能試験」とは、認定機関等が実施し、参加を要請する試験所間比較をいう。
2.認定機関等が要請する技能試験以外の計量証明の有効性を監視する方法は、次の例を参考とし、請け負う業務の種類及び量を踏まえ、社内規格に規定すること。 ア 試験所間比較への参加 イ 濃度既知試料の測定 ウ 組成標準物質を用いた検証 エ 分析の反復 オ 保留された試料の再計量 |
事 項 | 基準 | 運用・解釈 | |
一 | 施設 |
一 計量証明事業を適正に行うに必要な施設を保有していること。 |
1.「施設」は、計量証明事業を適正に行うため、分析工程、試料の形態や濃度に配慮した施設であること。例えば、試料の保管、調製、前処理など分析工程上必要な場所又はエリアが確保されている必要がある。また、試料保管室、調製室、前処理室等については、高濃度用と低濃度用の施設の区別など試料形態や濃度への配慮が必要である。 2.「施設」は、排ガス処理装置や排水処理装置が有効に機能するような構造(特に排気に関しては、気密性の確保や室内圧を負圧にする等により、室内の空気が外部に漏れないような構造)であること。 なお、計量法施行規則には、有害物質の排出防止性能のある排ガス処理装置や排水処理装置が特定計量証明事業に必要なものとして規定されている。 3.施設及び施設内の環境条件については、作業者による適正な業務の実施という観点から、安全面への配慮がなされていること。例えば、有害物質の吸入や皮膚への接触を避けるための処置、廃液や廃棄物の管理、また安全管理規定等を整備し、それに基づく安全管理等が実施されている必要がある。 |
二 施設の保守、施設内の環境条件の維持等計量証明事業を適切に行うために必要な事項が社内規格に定められ、それに基づいて保有する施設の管理が適切に行われているとともに、必要な記録を作成すること。 | 1.「必要な事項」には、機器分析室、試料保管室などの環境条件に関する基準、管理手順、施設への入出管理、整理整頓等に関する事項が含まれる。 | ||
二 | 装置等 | 一 計量証明事業を行うに必要な器具、機械又は装置(以下「装置等」という。)を保有していること。 | 1.「計量証明事業を行うに必要な装置等」とは、計量法施行規則別表第4に規定されているものをいう。 |
二 次に掲げる事項その他必要な事項が社内規格に定められ、それに基づいて装置等の管理が適切に行われていること。装置等を共用する場合は、共用者それぞれが適切に管理を行うこと。
イ 計量証明の結果に重大な影響を及ぼす装置等の適切な点検、校正、保守等性能の維持に関する事項 ロ 必要な場合、汚染防止に関する事項 ハ 不適切な装置等の識別及び当該装置等による影響の調査に関する事項 |
1.「計量証明の結果に重大な影響を及ぼす装置等」としては、GC_MS、天びん、サンプリング装置(ガスメーター、濃度計を含む。)等が該当する。
2.「汚染防止」とは、装置等の適正な使用の妨げとなる物質の排除のための処置をいい、「必要な場合」とは、外部からの汚染又は二次汚染の可能性がある場合をいう。 |
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三 次に掲げる事項について、記録を作成すること。装置等を共用する場合は、共用者それぞれが必要な記録を作成すること。
イ 装置等の品目 ロ 製造業者の名称、型式、製造番号その他識別のために必要な事項 ハ 装置等の適切性の確認の記録 ニ 所在場所 ホ 校正、調整の日付、その結果及び次回校正の期日 ヘ 校正に使用する標準物質の識別のために必要な事項 ト 保全管理の履歴 チ 装置等の損傷、機能不良、改造又は修理の履歴 リ 共用する装置等の使用期間、使用条件及び管理方法 |
1.「記録」は管理台帳等により作成されていること。 | ||
四 装置等の校正に使用する計量器又は標準物質は、特定標準器による校正等をされた計量器若しくは標準物質又はこれらの計量器若しくは標準物質に連鎖して段階的に計量器の校正等をされたものを使用すること。ただし、特定標準物質が存在しない場合は、標準物質の特性値が技術的に妥当な手順を踏んで確定されたものに値付けをされたもの又はそれと同等以上のものを使用すること。 |
1.「使用する計量器又は標準物質」について、校正証明書又はこれと同等の書面を保管していること。 2.「標準物質の特性値が技術的に妥当な手順を踏んで確定されたものに値付けをされたもの又はそれと同等以上のもの」を使用する場合にあっては、標準物質の特性値が技術的に妥当な手順を踏んで確定されたことを示す根拠資料を保管していること。 |
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五 他者に校正を依頼する場合は、適切な能力を有する機関に対し依頼すること。 | 1.「適切な能力を有する機関」とは、計量法に基づく校正事業者認定制度(JCSS制度)における認定事業者であるか、又は校正に用いる計量器等が国際的な計量標準へつながっていることを証明できる製造事業者や校正機関などをいう。ただし、上記の事業者等が国内に存在しない場合には、それと同等の能力を証明できる事業者等に依頼すること。 | ||
三 | 試薬等 |
イ 試薬又は消耗品の管理及び使用に関する事項 |
1.「試薬」には、標準物質が含まれる。 2.「必要な記録」には、精製、洗浄、その他の調製を行った試薬についての調製日、調製者及び調製内容等の記録を含む。 3.「標準液の調製及びその確認に関する事項」とは、標準液の調製手順、濃度の確認手順、トレーサビリティの確保等に関する事項をいう。 |
四 |
計量証明 |
一 計量を行うに適切な方法(以下「計量方法」という。)に基づいて具体的作業手順を記載した標準作業手順書を作成すること。 | 1.「適切な方法」とは、原則として公定法を指し、日本工業規格による方法や国が定めた方法がこれに該当する。
2.公定法の一部を変更する場合には、妥当性確認(目的適合性の客観的根拠を提供するもの)が行われていること。 変更の内容にもよるが、 (1)標準物質を用いた添加回収試験 (2)公定法によって得られた結果との比較 (3)再現性の確認、等 が挙げられる。また不確かさの考慮も行うことが望ましい。 3.「標準作業手順書」には、サンプリング、試料の取扱い、輸送、保管、事前準備、測定分析、データ解析の方法及び手順等の項目を含むこと。 |
二 依頼者が計量方法を指定しない場合は、法第百二十一条の二の認定を受けようとする者(以下「申請者」という。)がこれを選定するとともに、依頼者に通知すること。依頼者が指定した計量方法が不適切な場合もその旨を通知すること。 |
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三 計量の実施に当たって、計量を行う際に生じる不確かさの要因を特定し、不確かさが影響を与える程度の考慮を行うこと。 | 1.「不確かさの要因」としては、用いた標準物質、方法及び施設、環境条件、試験品目の性質及び状態、試験実施者等があるが、これらに限定されない。 | ||
五 | 試料の採取 | 一 必要な場合、可能な限り適切な統計的方法に基づいて、計量の対象となる試料(以下「対象試料」という。)の採取の計画を作成すること。 | 1.「採取の計画」には、試料採取者、採取日、採取地点、事前調査の有無(有の場合にはその概要)、試料採取器具・装置、サンプリングスパイクの種類・量、採取操作の概要、試料容器、搬送方法、トラベルブランク試験及び二重測定の実施等について記載すること。 2.通常の場合、試料採取は資材や機材の手配、担当者の選定、事前調査等様々な準備を行った後に実施されるものであることから、原則として計画を作成すること。 3.通常、試料採取を実施しない事業者であっても、計画の作成及び実施に関する手順等が規定されているか又は計画書の様式等が規定されていること。 |
二 標準作業手順書及び前号の採取の計画に基づいて適切に次に掲げる作業を行い、かつ、必要な記録を作成すること。 イ 対象試料の採取 ロ トラベルブランク試験のための作業 |
1.「トラベルブランク試験」については、測定の対象により公定法に規定されていない場合がある。その場合には要求事項とはしない。 | ||
六 |
試料の管理 |
試料の受領、取扱い、保管及び識別に関する事項その他必要な事項が社内規格に定められ、それに基づいて適切に試料の管理を行い、かつ、必要な記録を作成すること。 |
1.「試料の受領」とは、事業所における「受入検査」を指し、試料としての適性に疑いがある場合に採るべき手順についても規定すること。
必要な記録としては、搬入日、検査日、実施者、搬入手段(宅配便等)、試料容器の種類及び大きさ、試料の性状、受入れ検査の結果等が挙げられる。 |
七 |
試料の 前処理 |
一 必要な場合、対象試料の前処理の計画を作成すること。 | 1.「前処理の計画」には、試料の受領、取扱い、試料からの抽出、抽出液のクリーンアップ、ガスクロマトグラフ質量分析計による測定用試料の調製等の項目が含まれる。事業として多くの試料を処理する場合には、計画の立案が必要である。 |
二 標準作業手順書及び前号の前処理の計画に基づいて対象試料からの抽出操作を適切に行うとともに、当該操作に伴う必要な記録を作成すること。また、同時期に処理を行った試料の一覧を作成すること。 | 1.「必要な記録」とは、作業者、作業日、作業内容等データの遡及や精度管理上必要なものをいう。 | ||
三 抽出操作が行われた対象試料に対し、標準作業手順書及び第一号の前処理の計画に基づいてクリーンアップ操作を適切に行うとともに、当該操作に伴う必要な記録を作成すること。また、同時期に処理を行った試料の一覧を作成すること。 | 1.「必要な記録」とは、作業者、作業日、作業内容等データの遡及や精度管理上必要なものをいう。 | ||
四 次に掲げる試料(以下「試験用試料」という。)の調製について、標準作業手順書に基づいて必要な操作を行い、かつ、必要な記録を作成すること。 イ 操作ブランク試験に使用する試料 ロ トラベルブランク試験に使用する試料 ハ 二重測定に使用する試料 | 1.「必要な記録」とは、作業者、作業日、作業内容等データの遡及や精度管理上必要なものをいう。 | ||
八 |
ガスクロ マトグラフ 質量分析計 による測定 |
一 必要な場合、クリーンアップされた試料(以下「測定用試料」という 。)の測定の計画を作成すること。
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1.測定の計画には、GC_MSの調整、検量線の作成、試料の測定、検量線の確認及び感度変動の確認、同定及び定量等の項目が含まれる。多くの試料を処理する場合には、計画の立案が必要である。 |
二 標準作業手順書及び前号の測定の計画に基づいて適切に次に掲げる作業を行い、かつ、必要な記録を作成すること。
イ ガスクロマトグラフ質量分析計の調整及び適切な測定が可能であることの確認に関する事項 ロ 検量線の作成に関する事項 ハ 検量線作成用標準液、測定用試料及び試験用試料のガスクロマトグラフ質量分析計による測定に関する事項 ニ 検量線の確認及び感度変動の確認に関する事項 ト 同定された測定対象物質の量の確定(以下「定量」という。)に関する事項 |
1.「必要な記録」とは、作業者、作業日、作業内容等データの遡及や精度管理上必要なものをいう。 | ||
九 |
定量結果の |
標準作業手順書に基づいて適切に次に掲げる作業を行い、かつ、必要な記録を作成すること。
イ ガスクロマトグラフ質量分析計、測定方法又は試料測定時の検出下限及び定量下限の算出並びにその確認に関する事項 ロ クリーンアップスパイク及びサンプリングスパイクの回収率の確認に関する事項 ハ ロの回収率が計量方法に規定された範囲外の場合の対処に関する事項 ニ 操作ブランク試験の結果の確認に関する事項 ホ トラベルブランク試験の結果の確認に関する事項 ヘ 二重測定の結果の確認に関する事項 ト 異常値及び欠測値の原因等の検討に関する事項 |
1.検出下限及び定量下限に関し、算出の過程が確認できる資料を記録として作成していること。
2.イからトまでの各項目について確認の結果、公定法に規定された基準に合致しない場合について、対処方法が文書化されており、それに基づいて実施されていること。 |
事 項 | 基 準 | 運用・解釈 | |
一 | 受注 | 一 見積、契約内容の確認その他必要な事項が社内規格に定められているとともに、それに基づいて適切に契約行為が行われ、かつ、必要な記録を作成すること。 | 1.「見積、契約内容の確認」とは、次の事項について確認することをいう。
ア 使用すべき計量の方法を含め、依頼者の要求事項が十分に確定され、文書化され、理解されていること。 イ 事業所が、要求事項を満たす業務能力及び経営資源をもつこと。 ウ 適切な計量の方法が選定され、依頼者の要求事項を満たすことができること。 2.確認は、事業所が外注する業務を含めること。 |
二 契約を変更した場合は、再度、その内容について確認を行い、関連する記録を保存し、関係職員に周知すること。 |
|||
三 契約から逸脱した場合は、依頼者に通知し、了承を得ること。 | |||
二 |
物品等の 購入 |
次に掲げる事項その他必要な事項が社内規格に定められ、それに基づいて計量証明事業に使用する装置等、試薬その他の物品及びサービス(以下「物品等」という。)の購買が適切に行われていること。
イ 物品等の適合性確認及びその記録の作成に関する事項 ロ 物品等の発注先の評価及びその記録の作成に関する事項 |
1.「サービス」には、装置等の保守・校正サービス、試料の輸送サービス等の役務の提供を含む。 2.「その他必要な事項」とは、購入された物品等の受入れ、保管等に関する事項をいう。 3.「物品等の適合性の確認」とは、計量証明の品質に影響する物品等について使用前に要求仕様等に適合することの検査若しくは別の方法による検証をいう。 なお、記録には、注文書、仕様書、購入伝票、受入れ検査等の記録が含まれ、仕様書に技術的内容が含まれる場合には、その確認と承認が行われること。 4.「物品等の発注先の評価」とは、計量証明に影響する物品等の供給者についての評価をいう。なお、記録には、評価に関する記録、承認された供給者の名称を含む。 |
三 | 外注 | 一 工程の一部を外部の者に行わせる場合(以下「外注」という。)にあっては、次に掲げる事項その他必要な事項が社内規格に定められ、それに基づいて外注が適切に行われていること。
イ 第一項の表第八の項の下欄に掲げる基準に適合する監査による外注先の適合性の確認及びその根拠に関する記録の作成に関する事項 ロ 外注先との情報伝達及び結果の報告の方法に関する事項 ハ 外注を行った業務についての結果の確認及び評価並びに当該事項に関する記録の作成に関する事項 ニ 原則として外注者の業務結果について責任を有すること。 |
1.「工程」とは、計量証明の事業の工程をいい、計量証明の事業の工程の一部とは、試料の採取から定量結果の確認までの工程の一部又は全てをいう。
2.「その他必要な事項」には、例えば外注する場合の条件(どのような時に外注を行うか等)、外注先の能力評価における基準等が該当する。 |
二 外注は、依頼者の了承を得た上で、申請者が適切に管理できる範囲内において、当該工程について、この基準に適合する能力を有する者に行わせること。 | 「当該工程について、この基準に適合する」とは、外注を行う工程に該当する認定基準に適合することをいう。したがって、認定基準の第2項の「技術的能力」に関する基準のみならず、第1項の「管理組織」及び第3項の「業務の実施の方法」に関する基準についても、精度管理上必要な程度まで適合する必要がある。 | ||
三 外注に当たっては、次に掲げる事項について外注先と合意しているこ と。
イ この基準を遵守し、申請者が指定又は承認した計量の方法により業務を行うこと。 ロ 認定機関等の要請がある場合は、書面調査若しくは現地調査への協力又は技能試験への参加を行うこと。 ハ 外注が一年以上に及ぶ場合は、年一回以上の頻度での適合性の確認を行うこと。 |
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四 |
計量結果の 証明 |
一 計量結果を証明する書類の発行についての社内規格が定められ、それに基づいて発行が行われていること。 | 1.「社内規格」には、証明書の発行、再発行、発行後の修正、写しの保管、標章の使用、証明書の原本の保管、計量証明書の様式等に関する事項を規定すること。 |
二 計量結果を証明する書類は、原則として計量証明書として発行すること。 | 2.「計量証明書」には、次の事項を記載すること。 ア 計量証明書である旨の表記 イ 計量証明書の発行番号及び発行年月日 ウ 計量証明書を発行した認定特定計量証明事業者の氏名又は名称及び住所 エ 計量証明を行った事業所の名称、所在地及び認定番号 オ 計量証明書に係る計量管理を行った者の氏名 カ 計量の対象 キ 計量の方法 ク 計量証明の結果 ケ 計量証明の事業の工程の一部を外部の者に行わせた場合にあっては、当該工程の内容、当該工程を実施した事業者の氏名又は名称及び事業所の所在地 3.該当する場合又は必要な場合は次の 事項を記載すること。 ア 計量証明書が複数頁に亘る場合にあっては、各頁に総頁のうち何頁目に該当するかを示し、証明書の1部分であることを確実にする識別 イ 使用した計量の方法の版数又は制定年等の識別 ウ 計量を実施した日付け又は期間 エ 持ち込まれた試料にあっては、試料採取に関し自社が関知していない旨(または持ち込まれた試料である旨)の記載。 なお、自社が関知しない旨とは、自社が試料採取を行っていないことをいい、計量証明書に関する責任は当該証明書発行者が負うことになる。 オ 試料採取の実施の日時、試料採取場所(必要な場合には、図面、スケッチ、又は写真)、必要な場合には、試料採取時の環境条件。 カ 使用した計量の方法に基づく定量下限値、検出下限値等の計量結果に関連する情報 |
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三 発行後の修正を要する場合(軽微なものを除く。)は、発行された証明書の誤用防止措置を講ずるとともに、再発行を行うこと。 | 1.「軽微なもの」とは、誤字、脱字等であって計量証明結果に直接関連しない記載事項の修正をいう。 2.「誤用防止措置」とは、発行された証明書の回収等をいう。 |